最近はどうしても震災関連の話が多くなりますので、今回は少し話題を変えて美術館に行って感じた事を少し書きたいと思います。
東京の世田谷区にある「世田谷美術館」にて開館25周年を記念して生誕100年特別展「白洲正子 神と仏、自然への祈り」が開催されております。(2011年5月8日まで)
ご存知の方も多いと思いますが、白洲正子は、経済人でもあり吉田茂の政治ブレーンでもあった大変ダンディーな白洲次郎の奥さんです。
白洲正子は、1910年(明治43年)樺山伯爵家の次女に生まれました。幼くして能に親しみ14歳で女性として初めて能舞台に立ち、米国留学を経て白洲次郎と結婚。
戦後は一流の文化人と交流を深めながら文学と骨董の世界に没入し、43歳の時に能面を求め各地を旅しました。この旅が契機になり、その後日本各地の寺社を訪ね、背景になる歴史を記しながら、彼女の美意識に基づく知られざる神仏像を取り上げ、「西国巡礼」「十一面観音巡礼」等の紀行文を発表しました。
白洲正子さんに関しては多くの関連書籍が出版されておりますが彼女が訪ね記した言葉と共に、所縁の寺社の秘仏や神像、宝物など、国宝・重文を含む名宝約120件の一挙公開は、初めてだと思います。
それにつけても彼女の眼を通した神仏像の見方・考え方は、物事に関しての多角的な捕らえ方や掘り下げ方につながり大いに参考になりました。
今の時代次郎・正子のような一本筋が通った事業家・政治家・文化人が少ないのは、日本の教育に関係しているのでしょうか。
お二人が晩年住んだ、旧白洲邸「武相荘」にも一度足を運びたいと思いました。