「ソメイヨシノ」のお花見も終了し、今は「吉野のヤマザクラ」が街道沿いに咲き、目を楽しませてくれています。
先月末から今月上旬まで三か所の美術館巡りをいたしました。
一件目は、埼玉県立近代美術館で開催された、「インポッシブル・アーキテクチャー~もうひとつの建築史」展です。
建築史において技術的に可能であったにもかかわらず社会的な条件や制約によって実施できなかった建築、実現よりも既存の制度に対して批判精神を打ち出す点に主眼を置いた提案建築(アンビルト・未完の建築)展でした。
展示会は主に20世紀以降の国内外の建築家・美術家約40人の図面、模型、関連資料があり実現していたら建築史の中でのエポックになっただろうと思わせる作品(個人的には、白井晟一さんの原爆堂)もあり大変興味ある展示会でした。
ちなみにこの美術館は1982年竣工の「故・黒川紀章」さんの作です。
二件目は、東京ステーションギャラリーで開催されていた、「アルヴァ・アアルト~もうひとつの自然」展です。
アアルトは、個人邸から公共建築まで設計したフィンランドを代表する建築家です。
建築にあわせて家具、壁面タイル、ドアノブをデザインするなど細部へのこだわりも徹底していた点は、私が好きなデンマークの建築家「アルネ・ヤコブセン」に通じるものがありました。
この展示会は、ドイツをはじめ五か国で開催されている国際巡回展で日本においては20年ぶりとなる個展で模型、家具、照明など約300点が展示されていました。
個人的にはやはり、おなじみアームチエアパイミオが良かったです。
最後は、東京都美術館で開催され大変話題を集めた「奇想の系譜~江戸絵画ミラクルワールド」展です。
この展示会は、副題にもある「江戸のアヴァンギャルド 一挙集結!」とあるように、かつては江戸時代絵画史の傍流とされてきた画家たちが、その現代に通じる革新性によって熱狂的ともいえる近年の「若冲や江戸絵画ブーム」として大変人気を集めています。
その中の画家6名(岩佐又兵衛・狩野山雪・伊藤若冲・曽我蕭白・長沢芦雪・歌川国芳)に白隠慧鶴と鈴木基一を加えた計8名の作品を厳選しその豊かな想像力や奇想天外な発想に満ちた江戸絵画の新たな魅了を存分に味わえる内容の展示会でした。
残念なことに途中作品の展示代えがありお目当ての作品に巡り合えず少しへこみました。